函館市は、市内の子どもの経済や教育の状況などを調べた「子どもの生活実態調査」の中間まとめを公表した。母子世帯の割合が18・7%と道全体や札幌市に比べ高かった。高校卒業後の進路として大学などに進学させたいと考える保護者が49・9%となり、道や札幌市より低い傾向。子どもが厳しい環境に置かれていることが明らかになり、市は新年度予算で子どもの貧困対策を重視する考えだ。
子どもの貧困が課題となる中、調査は昨年8~9月、5歳、小5、中2、高2の子を持つ保護者、小5、中2、高2の子ども計7070人を対象に初めて行った。無記名アンケート形式で、5歳と高2は質問票を郵送し、小5と中2は学校を通じ質問票を配った。健康や家計、学習、子育て、制度の利用状況などを子どもと保護者に尋ねた。回答率は60・9%。市は3月に最終まとめを行う。
調査によると、母子世帯が13・2%、祖父母同居の母子世帯が5・5%に上り、合計18・7%。道が2016年度に行った同様の調査では15・2%、札幌市は11・2%となっており、函館市は母子家庭の割合が高く貧困のリスクも高い。
高卒後の進路で4年制大学に進学させたい保護者が32・4%、専門学校が12・7%、短大が4・8%で、計49・9%。大学などが近場に多い札幌市は72・7%、道は51・0%で、いずれも函館市を上回った。
44・2%の世帯が家計の状況がぎりぎりと答え、黒字は28・3%、赤字は24・9%だった。9・4%の世帯が過去1年間に税金が支払えなかったと回答、電気・ガス・水道料金のいずれかも8・5%、電話料金(携帯・スマートフォンを含む)も8・0%が滞納していた。
大学まで進学したい子どもが40・3%、短大・高専・専門学校までが21・6%おり、計61・9%。保護者の考えより、子どもの進学意欲が強いことが分かった。進学にあたって資金面の工面を聞いたところ、奨学金を利用(55・9%)、貯金をあてる(39・4%)、学資保険をあてる(34・6%)の順。
子どもに関する悩みでは、5歳児は「子どものしつけ」が45・0%でトップ。小5、中2、高2は「子どもの学習や進路」が49・0%で最も多かった。
市子ども未来部は「母子世帯の割合と親が考える高卒後の進路を除くと、道とほぼ同様の傾向が出た」と受け止めている。工藤寿樹市長は17日の定例会見で、18年度から子どもの貧困の解消に向け重点的に取り組む考えを示した。(山崎大和)