函館市弁天町の出版社「新函館ライブラリ」社長の大西剛さん(56)がこのほど、「来たくなったら自分で探そう 超不親切 移住者による函館ガイド」を出版した。あえて載せる情報を減らした「案内しない町案内」と銘打ち、旅に出たくなるようなガイドに仕上げている。
大西さんは大阪府岸和田市生まれ。旅で訪れた函館の風景に魅せられ、住んでいた京都から2009年に移住し、新函館ライブラリを立ち上げた。これまでも函館の歴史に注目した写真集などを出版している。
ガイドには、観光名所はほとんど登場しない。「本を見て、実際に歩いて探してほしいと思うスポット」を中心に、「レトロ建築とそばの町」「幻ホテル」など11テーマを厳選。大西さんが移住前から撮りためた170点の写真とともに、移住者の目線で函館の魅力や地元住民との他愛ない会話で感じたことなどを記している。
「超不親切」とうたうのは、ガイドブックに必須の地図や店舗連絡先がないから。気になった場所は本を頼りに読者が探す。大西さんは「最近のガイドブックは情報が多すぎる。例えば建築物なら『なぜここにあるのだろう』などと歴史的背景を考えるのが面白いのに、ガイドブックには詳しく載っている」と指摘。「地元の人の息遣いを含め、その土地のありのままを知るのが旅の醍醐味(だいごみ)」と話している。
A5判フルカラー80ページ。税込み1000円。書店や函館市地域交流まちづくりセンター、インターネット通販サイトAmazonなどで購入できる。電子書籍はコンテン堂(http://contendo.jp/)で601円。問い合わせは新函館ライブラリ(☎0138・84・1620)へ。(稲船優香)