1日午後1時15分ごろ、青函トンネルを走行中だった新函館北斗発東京行きの北海道新幹線が緊急停止していたことが、6日までに分かった。落ちていた金属片がレールに触れて異常を感知し、赤信号に変わったのが主な原因とみられる。3月26日の開業後の北海道新幹線の緊急停止は初めてで、JR北海道は「すぐに安全確認して運転を再開することができたので問題はなかった」として公表していなかった。同社は安全策の徹底を図るとしている。
JR北によると、緊急停止したのは、青函トンネル吉岡定点付近(福島町)を走行していた「はやぶさ22号」で、共用する在来線にいるはずのない車両の存在を示す反応があり、停止信号の受信で運転士が非常ブレーキをかけた。停止時間は1分ほどだったとしている。
当時、車両はトンネル内での最高時速140キロで走行し、完全停止の制動距離は約800メートルだった。車両には乗客約350人が乗っており、このうち1人が首に違和感を訴えたという。この1人に同社は「病院に行くように薦めたが、その後どうなったのかは分からない。けがだったのかも分からない」とする。
青函トンネルでは、新幹線の2本のレールの内側に在来線専用レールが1本敷かれており、運転再開後の点検でこのレールのすき間に楕円形の金属片(縦6センチ、横4・5センチ、厚さ0・2センチ)が落ちているのが見つかった。この金属片を通してレール間に電気が流れたことで、貨物列車が走行していると誤って認知し、赤信号になった可能性が高い。同社は金属片の詳細を外部で調査するとともに、出どころなどを調べて再発防止を急ぐ。
緊急停止などの未公表について、同社は「停止信号は瞬間的なものですぐに青になり、停止後間もなく運転を再開して奥津軽いまべつ駅に2分遅れで到着した。20分以上の遅れや広範囲に及ぶ影響があった場合は公表するが、(今回は)問題はなかったので公表していないし、コメントもない」としている。(田中陽介)