臥牛山3月22日・スピード化の恩恵
記者としてカメラを持たされたころは、ピントと露出はカメラ任せの時代になっていた。だが先輩記者はマニュアル(手動)でピントを合わせる世代。よく言われたのは「オートの方が大変だな」▼また、カメラのデジタル化が進む頃でもあった。フィルムなどの経費が削減されたことは大きい。しかし先輩記者は「撮った写真がすぐ分かると、丁寧に撮らなくなるな」と苦言。その通りになった▼カメラのデジタル、オート化による最大の利点はスピードだ。じっくりピントを合わせなくてよい、写真は1枚だけ必要でも、フィルムは36枚分の現像に時間が掛かっていた。取材から掲載処理にかかるまでの時間が大幅に短縮された▼機械が進歩する分だけ、記者は感性を求められた。早く撮影、確認できるなら、たくさん写真を撮ることができる。先輩が言った「大変さ」はここにある。これまで見られなかったような写真を一層求められた▼北海道新幹線の開業で、青函間が約1時間で結ばれる。作家の谷村志穂さんは、小学生の修学旅行で子どもたちに交流する機会を与えてみてはと提案。滞在時間が増えるスピード化の恩恵をどう生かすか。新しい交流スタイルが求められる。(R)