卒業シーズン。校長や来賓は巣立つ生徒たちに激励の言葉をかけ送り出すが、
頭を下げ「生徒が自ら命を絶ったのは学校としても痛恨の極み。深く反省するとともに…」という式辞は怒りさえ覚える▼広島県府中町の中学3年の男子生徒(当時15歳)が誤った2年前の万引き記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した。担任は昨秋の進路指導で生徒に「万引き記録があって高校への推薦はできない」と説明したという▼実際は学校側が別の生徒の行為と取り違え、電子データは修正されず残るという考えられないミス。帰宅した生徒は小さな声で「お母さん、非行歴があって、私立への推薦がもらえないと言われた」と涙…▼万引きなどがあった場合は生徒、保護者、担任、学生主任、生徒指導主事の5者面談や別室指導などが定められているのに、行われなかった。町教委も「誤った記録による進路指導があった」とずさんなテータ管理を認めた▼生徒は廊下で万引き行為を担任に問われ「えっ」と驚いて、ぬれぎぬを着せられたまま自死。重要な進路指導を教室前の廊下で立ち話程度でやるのは軽率。生徒の絶望を思うと胸がつまる。えん罪ではないか。「15の春」を泣かせるな。(M)