臥牛山4月26日・震災熊本城
市町村には何らかのシンボルがある。多くは長い年月を重ねて培われたもので、住む人たちにとっては誇りだ。函館で言えば箱館奉行所が復元された五稜郭公園であり、歴史的建造物が残る元町地区だろうか▼全国的にみれば、最も分かりやすいシンボルは「城」。それも名将のゆかりとなれば訪ねてくる人も多い。昨年度の城入場者統計が教えているが、最高は平成の大修理を終えた世界遺産の姫路城で286万7000人だった▼大阪城(233万人)、首里城(187万人)が続き、4番目に多かったのが、大地震で未曾有の被害を受けた熊本城(177万人)。テレビに映し出される無残な姿に市民(県民)の落胆は大きく、胸が痛む▼発生から10日が経っている。なのに、余震は治まり切っていない。多数の死傷者を出し、住宅の倒壊も多く、被災者には不安と過酷な生活の日々が続いている。個々人の生活を、街をどう復興させていくか、課題は多い▼本格調査を待たなければならないが、熊本城も修復には20年はかかるとも言われている。たとえ、時間はかかろうとも…。「(熊本城は)市民の精神的支柱であり、復元は復興の証しとなる」。現地を視察した熊本市長の発言の意味は重い。(A)