臥牛山4月19日・日本で生きているということ
「日本で生きていることを、改めて考えさせられました」。政治学者、姜尚中(かんさんじゅん)さんの言葉だ。先日、北海道新聞の書評欄「訪問」で語っていた▼熊本市生まれの姜さんは地震の起きた14日、仕事の関係で郷里のホテルにいた。激しい揺れを感じ、非常階段を使って外に出たという▼地震の一報を聞いたとき、まず津波の恐れがあるかどうかが気になった。多くの人と同様、M6・5の14日が前震で、16日未明に1995年の阪神・淡路大震災規模(M7・3)の「本震」が起きるとは露ほどにも思わなかった▼災害が比較的少ないとされていた熊本。目に見えない地下では、複数の断層帯が大分県にかけて連なる。活断層が連動し、17日夜までに震度1以上の地震は500回近くに上った。「これほど広範囲に拡大するのは(観測史上)例がなく、経験をあてはめられない」と気象庁。いつまで続くのか。さらに大きな地震があるのか、専門家も「分からない」としている▼被災地では余震への恐怖が続き、物資不足に悩まされている。活断層が2000以上あるとされる日本で、被災地の現状は人ごとではない。被害がこれ以上広がることがないよう祈るとともに、何ができるか。胸に手を当てる日が続く。(Z)