よく祖母から昔話「三年寝太郎」を聞かされた。3年間眠り続け、どうしよう
もない怠け者といわれた男が、村が干ばつになると、突然起き出して田畑に水を引いて村を救った▼勤勉な働きアリだけでなく、働かない怠けアリがいたほうがコロニー(集団)が長持ちするという研究成果を、北大の研究チームが英科学誌に発表。コロニーの中には必ず2~3割、働かないアリがいるという▼研究チームは全国にいるシワクシケアリを飼育し、1匹ずつ異なる識別色を付けて8コロニーの行動を観察。勤勉な働きアリが休むようになると、怠けアリが代わって働くことを確認▼アリが全て働かなくなるとコロニーは滅びてしまう。働きアリが疲れたら、怠けアリが出番到来とばかりに働き出し、一番大切な卵の管理に目を光らせる。怠けアリがいるからこそ、集団の長期存続が保てるという▼「はたらけどわがくらし楽にならざり~」。人間社会にも通じるアリの組織論か。怠け者の寝太郎でも、いざとなったら力を発揮した。1億総活躍社会を目指しているが、疲れたら助ける“怠け寝太郎”との共働は欠かせない。「ぢつと手を見る」だけでは、アリに申し訳ない。雪が解けたら観察しよう。(M)