3月に車体ラッピングを一新した、函館市西部地区を循環するバス「元町・ベイエリア周遊号」が好調だ。4月の利用客は北海道新幹線開業を追い風に、前年同月の2倍に増加。市内の観光名所をあしらったデザインは一目で他の路線バスと識別できることから利便性向上にもつながり、利用客から好評を得ている。
同バスはJR函館駅を起点に、20分間隔で1日26本運行。運賃は大人210円、子ども110円で、函館朝市や金森赤レンガ倉庫群、函館山ロープウェイ山麓駅など22カ所の停留所を約30分かけて周遊する。
運行する函館バスが、市や函館商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構の提案を受け、3月に49人乗りの車体をリニューアル。車体と同じデザインのバス停も新たに設置した。同社バス事業部によると、「ラッピングがかわいらしく、街並みにもなじんでいる」「バス停が目立って良い」など、利用客から好評の声が多く寄せられているという。
外国人の利用客も多いことから、新設したバス停には英語や中国語の案内表記を追加した。担当者は「乗務員に外国人客対応のポケットマニュアルを持たせているが、より良い接客を図るための策を今後も検討したい」と話す。
5月4日に同バスを利用し、夫婦で函館観光を楽しんだ東京都の会社員増渕忠雄さん(56)は「ほかの車両とデザインが違うので、どのバスに乗ればいいかすぐ分かり、助かりました」と笑顔で話していた。
同社は、同様のデザインを施したラッピング車両1台を「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」などでも運行中で、本年度中にさらに2台増やし、市内を走る観光路線バスで運用したい考えだ。(山田大輔)