道運輸局函館運輸支局は、2015年度の青函航路フェリー3社の輸送実績をまとめた。トラックは前年度比4%減の24万3977台で、07年度以降最低の水準にとどまった。旅客は微増の55万8425人で、各社は3月の北海道新幹線開業を好機ととらえ、運賃の安さを売りに営業を強化し、需要増を狙う考えだ。
調査対象は津軽海峡フェリー、青函フェリーを共同運航する共栄運輸と北日本海運の3社。
トラックは2年連続の減少。荷動きが鈍いことに加え、ドライバーの長時間勤務に対する罰則が14年に強化されたことが要因で、同支局は「青函のような短距離航路を控え、苫小牧発着の長距離フェリーに輸送ルートを変更する傾向がある」と分析する。
車両はこのほか、乗用車が同12%増の11万52台、バスが同11%増の733台だった。
旅客は2年ぶりの増加。北海道新幹線開業に伴う設備切り替え工事で、JRの津軽海峡線が数日間運休となり、振り替え輸送などで需要が伸びた。内訳は、自動車を利用しない一般旅客が同2%減の11万1445人、航走旅客が同1%増の44万6980人。
本年度の見通しについて、津軽海峡フェリー青森営業所の担当者は「新幹線開業で鉄道運賃が値上がりになった。青函圏の旅行需要が増える中、安さを選択してフェリーを利用する客も増える」とみる。新函館北斗―新青森間の新幹線料金が最安値で4350円なのに対し、フェリーは2000円前後から乗船可能で、学生などには魅力的な料金だ。
共栄運輸の桜井耕志営業部長は「新幹線とフェリーを組み合わせた旅行商品も続々と企画されている。効果的なPR方法を考え、新幹線との相乗効果を狙いたい」としている。(山田大輔)