昨年3月26日に開業した道南いさりび鉄道(函館、小上一郎社長)は29日、2016年度の決算を発表した。営業収益は開業前見込みから1億230万円増の15億1113万円で、営業費は同1億5700万円増の16億6443万円となった。営業損失は1億5330万円、営業外収益、営業外費用を加えた経常損失は1億8566万円。税引き後損失は1億4640万円となり、見込みから740万円圧縮された。損失は道や沿線自治体からの補助金で補てんされる。
決算は29日の株主総会後に開かれた沿線地域協議会で示された。
営業収入のうち、運賃など旅客運輸収入は開業前見込み比400万円減の1億5140万円。JR貨物からの線路使用料は、線路の維持管理などに伴う対象経費の増加により同1億360万円増の13億1960万円。営業費のうち、人件費が同6580万円増の3億4080万円、業務費が同1億4940万円増の10億6920万円。
特別利益では、開業前に見込んでいなかった車両検査に対する国庫補助金収入920万円、道路管理者から工事を委託される線路敷地内の工事の負担金収入2億8910万円を計上。特別損失では受託した工事関係費2億5360万円を計上した。
協議会には、同社に出資した道、函館市、北斗市、木古内町の担当者が出席。オブザーバーとして小上社長が出席し、決算のほかに本年度の営業方針が示された。
本年度の事業内容では交流人口の誘客のため観光列車「海峡ながまれ号」の運行回数を16年度の17回から30回に増便することや、台湾鉄路管理局との姉妹鉄道協定締結と台湾観光客の取り込み、1日フリーパス乗車券の実現に向けて協議を行うことなどを盛り込んだ。小上社長は「開業1年間で安全運行の基盤ができた。本年度は営業面で積極的な取り組みを打ち出していきたい」と語った。(大谷健人)