函館市鈴蘭丘町に研究施設を持つ浅井ゲルマニウム研究所(川崎市、志柿松作社長)の発表論文がこのほど、世界的に著名なカナダの医学・生物学系情報サイトに掲載された。有機ゲルマニウム化合物が体内の重要な生理活性物質と作用することを解明。同サイトで紹介されるのは、全世界の研究論文のうちわずか0・1%といい、同社は「今後の研究に弾みが付く」として快挙達成に沸いている。
同社は、創業者である故浅井一彦さんが、世界で初めて合成に成功した有機化合物「アサイゲルマニウム」を健康食品や化粧品の素材としてメーカーに提供しているほか、体内への作用効果などを研究している。
論文は、英国の医科学雑誌「フューチャー・メディシナル・ケミストリー」(2015年7月号)に投稿。北米の医学研究者が評価し、疫病治療などに役立つ厳選した論文を毎週発信する情報サイト「グローバル・メディカル・ディスカバリー」で紹介された。
研究部の中村宜司さんら6人が執筆した論文では、摂取したアサイゲルマニウムが神経伝達物質のアドレナリンやATPの持つ特定の構造に作用し、痛みを和らげるメカニズムを具体的に解説。鎮痛効果のある従来の薬品は副作用をもたらす可能性があるのに対し、水溶性のアサイゲルマニウムは体内の生理作用を阻害しないのが大きな特徴だ。
中村さんは「アサイゲルマニウムに注目してもらえるきっかけになり、掲載は非常にうれしい」と喜びの声を上げる。
サイトでは「創薬分野でキーとなる発見論文」として取り上げられ、今後は新たな医薬品開発にも期待がかかる。中村さんは「研究を重ねながら製薬会社と協力し、安心・安全な医薬品提供のお手伝いをしたい」と意気込んでいる。(山田大輔)