北海道新幹線の建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は8日、新函館北斗-札幌間(約212キロ)の延伸時期について、トンネル工事の難航を理由に2030年度末の札幌延伸が困難であると国土交通省に報告した。新たな開業時期の目標は示さなかった。
機構の藤田耕三理事長が同日、国交省を訪ね、斉藤鉄夫国交相に工事の遅延理由や現在の状況を報告した。
道新幹線の札幌延伸は15年1月の政府・与党間の申し合わせにより、35年度末から30年度末開業を目指し工事を進めてきたが、延伸区間の8割を占めるトンネル工事が難航している。
機構によると、後志管内倶知安町とニセコ町にまたがる羊蹄トンネル(約9・7キロ)の掘削中に発見された巨大な岩の塊の除去に想定以上に時間を要したほか、地質不良なども生じたことから、現時点で工期が4年ほど遅れている。このほか、今年4月から実施されている作業員の労働時間制限を伴う「働き方改革」もあり、30年度末の開業が見通せなくなったという。
機構は今後の対応として「なるべく早く今後の見通しを明らかにできるよう最大限対応していく。沿線自治体など関係者の協力を得ながら、引き続き工程の短縮に取り組み、1日も早い開業に向けて最大限努力する」とする。
また、開業の遅れにより、沿線自治体の再開発事業やまちづくりへの影響は必至。道と沿線自治体を交えた函館-長万部間の並行在来線の維持に関する協議や、函館市の大泉潤市長が掲げる函館駅への新幹線乗り入れ構想についても、今後の議論に影響を与えそうだ。(市丸和秀)