函館市などが主催する「函館くじらフェスティバル」が、今年は中止されることが決まった。道南日本海でのツチクジラの商業捕鯨が行われず、クジラを解体できる市内の処理場も廃止となり、〝クジラ熱〟が高まらない中で苦渋の選択。函館とかかわりの深いクジラのイベントが一つ消えることになった。
同イベントは、市、函館水産連合協議会、函館国際水産・海洋都市推進機構が主催し、2016年から7月に3年続けて開催。1年目は単独、2、3年目は「函館マリンフェスティバル」と同時開催で、昨年は前年比1010人多い4010人が足を運んだ。
昨年は、300食限定の塩ラーメンにクジラの赤肉チャーシューをトッピングした「くじらラーメン」が完売したほか、函館水産高校の生徒が製造した「くじら大和煮缶詰」の販売、クジラ汁と竜田揚げの料理教室、クジラに関するパネル展示、調査捕鯨に関する映像放映などが好評を得た。
函館近海でのツチクジラ商業捕鯨は1999年に始まり、スルメイカ漁解禁(6月1日)前の函館の風物詩だったが、17、18年と2年連続で行われず、再開の見通しが立っていなかった。
市農林水産部は、3回の開催で一区切り付いたと説明するとともに「ツチクジラ漁の水揚げ基地になっておらず、市民の間で機運が高まっていない。クジラ肉のファンには残念だと思うが、理解してほしい」としている。
函館では、ツチクジラ漁撤退後も鯨族(げいぞく)供養慰霊祭は毎年続けられている。(山崎大和)