25日のクリスマスの午後、人混みの雑貨店でチョコレート入りのかわいい缶を見つけた。たくさん積んであるので、仕事帰りに買おうと思ってその場を離れた。だが夕方、売り場に行って驚いた。まだ午後6時なのに、すでにクリスマス商品も飾り付けもすべて片付けられていたからだ。
もっとも、遅かれ早かれどの店も25日は閉店直後、大急ぎでお正月のしつらいにする。ヨーロッパのように年明け20日ころまでクリスマス飾りのままでもよいだろうと思うが、日本では許されないようだ。お正月の準備は「事始め」の12月13日に始めてよい。だからお正月用品も早々に売り始めればよいのに、クリスマス商戦が終わる25日まで皆じっと待つ。
そして25日の夜、クリスマス飾りからお正月のしつらいへ、つまり西欧文化から日本文化へと装飾の大変換が完璧に行われる。こんな律儀な国が他にあるだろうか。クリスマスはもとより、バレンタインデーもハロウイーンも、ゆるゆるっと面白そうな西欧文化を受け入れてきたのに、その一方で自国の伝統文化はしっかり守っているということだ。
おせち料理も手作り派は少なくなったとはいえ、食材売り場のにぎわいを見る限り、多くの家庭の食卓におせちは登場するのだろう。見よう見まねだろうが手抜きだろうが、伝統を守ろうとする気持ちが素晴らしい。まだまだ日本は捨てたものではない。新年は明るい年であってほしい。(生活デザイナー)