色彩心理学を学び始めた。以前に少し勉強したことはあるが、専門家を招いて少人数で本格的に学ぶことにした。それには理由がある。期せずして病気をして以来、目に飛び込む色、身に付けたい色が以前よりはっきりしてきたからだ。
街を歩いている時、今まで興味がなかったオレンジ色にばかり目が行ったり、迷わず赤いアクセサリーを手に取る日があったり、その日によって魅(ひ)かれる色が違う。もしかしたら、好き嫌いとか、似合うかどうかとは違う理由があるのではないか。学びたい気持ちが再燃した。
1回目のテーマは緑だった。安心や健康、癒しなどいろいろな意味を確認しながら進む授業は実に楽しかった。特に意識したことはなかったが、私は昔から緑色を好んで選んできたようだ。先生にいろいろ分析されてドキドキしたが、納得することばかりだった。
講義を受けて気付いたことがある。親が子供に着せる洋服の色や、生活空間の色の重要性である。親は自分の好みの色の洋服を着せたがる。持ち物の色にも親の好みが反映するし、インテリアも自分好みの色だろう。子供たちがいや応なしに日々目にする色から受ける影響は多大である。
同時に子供たちが自分で選ぶ色には重要なメッセージが隠されているに違いない。子育て時代を振り返っても色にまつわる小さな親子げんかはいくつもあった。色の力をもっと暮らしに生かす方法はないものか、私なりに考えてみたいと思う。
(生活デザイナー)