去年の今頃、親子で参加する教室を開いた。簡単なパーティー料理の盛り付けやハロウィーンの食卓装飾をしてもらったのだが、実に楽しかった。つい手が出る親御さん。自分でやりたい子供たち。いつの時代も同じである。子供は何でも自分でやりたい。親がやらせない場合が多いのだ。
塾以外にもお稽古事で子供たちが多忙な時代、食事の準備や後片付けを手伝わせる家はどのくらいあるだろうか。家庭科で習うのだからボタン付けや雑巾づくりなら子供もできるはずだが、させる親御さんはいるのだろうか。
いや、裁縫に関しては親の方もかなり怪しい。小学校時代の裁縫箱は卒業以来開けたことがないという人も多い。健康や安全を考えた食事づくりへの関心は増す一方なのに、衣食住の衣への関心は外部化の一途ではないか。
もちろん手作りが得意なママたちもいるが、総じて食にかける情熱より裁縫熱は圧倒的に低いと思う。買った方が安いし素敵だという声もある。確かに何でも安く安易に手に入る。だがだからこそ「作る楽しみ」を評価できないものだろうか。
怖いカボチャづくりも料理の盛り付けもあんなに楽しそうにやった子供たち。花のデザインを教えた時も、大人よりはるかに熱意が感じられた。子供は大人が楽しそうにやることに興味を持つ。すべて手作りというのは無理だが、衣食住を通してモノを作る喜びを見せられる大人でありたい。生きる力はきっとそこで学ぶのだろう。(生活デザイナー)