ポーランドで日本の食器や食文化について講演をする機会を得た。準備しながら日本が世界に誇れるものをいくつも確認できたことは本当に良かったと思う。
クリスマス直前だったので、訪ねた3つの町ではどこでも写真のような装飾用の植物を売る人たちを見掛けた。縁起が良いとされるヤドリギは、リースにしたり照明器具を覆ったり。日本では高価だが、当地では街路樹や庭木にも宿るので安く手に入る。モミの木は丸ごと1本でも、好みのサイズの枝でも。日本の「歳の市」によく似ていた。
さてそのクリスマス、ポーランドの伝統料理は鯉。なるほど湖の多い国、淡水魚の鯉がごちそうになったのは当然だろう。だが畜産も盛んなのにクリスマスの前は、多くの人は肉を食べないと言う。宗教に裏打ちされた歴史と文化に感動していたら、こちらも質問された。「日本ではクリスマスには何を食べるのですか」
「すっかり西欧化しました」というと、「では七面鳥?」と恐れていた質問が返ってきた。仕方なくチキンだというと、予想どおり理由を聞かれて答えに窮した。七面鳥が手に入らないのでニワトリにしたらしいて…というと、皆一様に驚いていた。
面白そうなものを自国流にアレンジするのは、ビジネスも含め日本の技か。どうであれクリスマスのチキンはすでに日本の文化である。美味しいし、豪華だし。だがポーランドで私は少し恥ずかしかった。(生活デザイナー)