北海道新幹線開業後、道南は初めての厳冬期を迎えた。観光閑散期で国内客の入り込みが伸び悩むものの、外国人旅行客は増加し、函館市内観光施設の利用者は前年を上回る状態が続く。ただ、ホテルや旅館の宿泊数は海外客を積極的に受け入れるかどうかで大きな差が生まれており、消極的な施設では前年並みにとどまるなど、新幹線効果は限定的となっている。
新幹線の1月の乗車人員は約11万4700人。乗車率は19%で、月別では昨年3月の開業以来最低となった。一方で、昨年10月に国際線で函館空港に降り立った利用客は、前年同期比10%増の2万7000人。格安航空会社のタイガーエア台湾の新規路線就航などが全体を押し上げた。
こうした中、五稜郭タワーの昨年10月~今年1月の搭乗者は同28%増の25万7769人で、月別では新幹線開業以降2桁増が続く。営業部の横山傑アシスタントマネジャーは「新幹線を絡めたツアーで利用客が増加していることに加え、個人旅行者を中心に外国人客も好調だ」と手応えをつかむ。
一方、函館財務事務所がまとめた市内18のホテル、旅館の昨年10~12月の宿泊者数は、同微減の48万3000人。改装工事で予約を制限している3施設を除いた数字でも2%増にとどまる。同事務所が冬場の見通しについて聞き取りを行ったところ、回答した16社のうち「前年を上回る」、「前年を下回る」としたのが各5社で評価は二つに分かれた。
函館湯の川温泉旅館協同組合の金道太朗理事長は「11月までは新幹線効果が如実に表れたが、冬場は例年通りに戻ってしまった。国内需要が冷え込む中、外国人客を受け入れているところは前年並みかそれ以上を何とか確保している」と話す。また、新幹線開業以降、市内の宿泊施設は軒並み宿泊単価が上がったが、ホテル関係者は「冬場は強気に出ることができず、上げ幅はせいぜい1割。1泊2000円程度で泊まれる格安ホテルに流れる動きもある」とする。
来年以降、新幹線開業効果が徐々に落ち着くとみられる中、閑散期の国内客の需要掘り起こしは依然として課題が残る。函館ホテル旅館協同組合の遠藤浩司理事長は「新幹線開業1周年に合わせて再度PRを強化し、宿泊客の増加につなげたい」と話している。(山田大輔)