水産研究・教育機構北海道区水産研究所(札幌)と北大は、函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型実験水槽で、ホッケの産卵行動実験を行っている。道内の日本海側で捕ったホッケを使い、繁殖ペアのでき方や卵の質の変化を調べ、大量死亡が生じやすい卵・仔稚魚(しちぎょ)期の生態を明らかにする狙い。近年、道南でも漁獲低迷が深刻なホッケの資源回復に向けた取り組みとして注目される。
同研究所の森田晶子主任研究員が手掛ける研究課題「父性効果と母性効果がホッケの資源変動に及ぼす影響」の一環。雄が作る縄張りが大きく、小さい水槽だと実験できないため、同センターが引き受けた。大型実験水槽の水量は150トン。同センターでの実験は、昨年11~12月に続き今回が2季目。
実験を担うのは、北大大学院水産科学研究院の中屋光裕准教授(42)=水産資源生態学=と、大学院水産科学院修士課程1年の横山貴洋さん(23)。水槽内に雄6匹(大中小各2匹)と雌6匹(同)の計12匹を入れ、ホッケが好きなペアを作って産卵させる飼育実験をしている。横山さんは修士論文のテーマの一つとして取り組んでいる。
ペアのでき方は、雄の体サイズを選んで雌が産卵相手を決めるのか検証するとともに、雄が雌を選んでいる傾向がありそうで再現性を確かめる。卵の質の変化では、卵重量の計測や、どういうペアから生まれた卵が生き残りが良いのかを調べる。
道内ではホッケの漁獲低迷が続いていたが、昨年ごろから資源量に回復の兆しが見え始めたという。中屋准教授は「若齢魚しか産卵に加わっていないのが現状で、捕り残して高齢魚まで産卵に加われば、もう少し再生産がうまくいくのでは」と推察。「実験を通じ、有効な資源管理につなげたい」と意気込む。
実験は12月6日まで。実験の様子は見学できる。(山崎大和)