道南スルメイカ漁が上向く兆しが出てきている。11月の漁獲量は上旬、中旬、下旬と増加傾向を示した。ただ、12月に入ってしけ頻発と道東方面からの南下群の到達遅れが重なり、漁獲は安定しない。今後、南下群の来遊が本格化すれば漁獲は上向くが、盛漁期が短くなる可能性も指摘されている。
函館港での11月の近海小型釣りイカの水揚げ量は上旬34・5トン、中旬42・8トン、下旬60・9トンの合計138・2トン。好漁だった前年同期(198・6トン)を下回ったが、堅調な伸びを見せた。過去10年(2005~14年)の同時期平均(168・4トン)からは18%少なかった。
6月からの漁期トータルでみると、7日現在で691トンとなり、01年以降で最低だった昨季(755トン)を上回るのは確実な情勢。しかし、通年では夏季の漁獲低迷が響き、低調なまま終わる可能性が高い。
南下群の来遊の遅れは、釧路沖で水温が平年より3度高い海域があり、イカにとって好適な水温範囲で長くとどまっているためとみられる。
函館市漁協(橘忠克組合長)によると、今月はまともに出漁できたのは6日現在、1日のみにとどまっている。「しけと南下遅れの影響で9~11月は思うように漁獲が伸びなかった」と残念がる。
函館市中島廉売内の紺地鮮魚(紺地慶一社長)では7日、イカ2匹を700円で販売。同店は「しけの影響もあり、入荷の増減が激しい。夏場ほど需要は少ないが、たくさん捕れてほしいね」と期待を込める。
道総研函館水試の澤村正幸研究主査は「今後、釧路沖にいた群れが南下してくれば漁獲は上向くだろう。ただ、来遊が遅れるほど盛漁期も短くなる懸念がある」と話す。(山崎大和)