函館市は8、9月に、快適な環境の中で休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の体験ツアーを実施する。首都圏などから100人を募集する予定で、函館での働きやすさや過ごしやすさを体験してもらうことを通じ、将来的な企業誘致にもつなげていきたいとしている。
ワーケーションはワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及したことから全国的に注目が集まっている。市は昨年9~11月に計7回の体験ツアーを実施し、関東圏や中部圏などの38社から67人が参加。市臨海研究所や函館大三坂オフィスなどをワークスペースとして提供するとともに、公立はこだて未来大や市国際水産・海洋総合研究センターなどへの視察を盛り込み、研究機関の充実度をアピールした。また、多彩な観光名所や魅力的な食、生活環境の快適さなども積極的に紹介したところ、参加者のアンケートでは87%が「また函館でワーケーションをやってみたい」と好評だった。
2回目となる今年度は、避暑地としての利点をPRできる真夏の時期に計10回(定員各10人)のツアーを予定。参加者は市内のホテルや旅館に3泊4日または6泊7日の2プランから選択。ツアーを運営する旅行会社が総合的なアドバイスを行うコンシェルジュを配置し、参加者のリクエストにきめ細やかに対応する。また、前回参加者からの要望を受け、個人用のウェブ会議用ブースや大型ディスプレイモニターを新たに用意するなど、より仕事をしやすい環境を整えた。
市は今年度、市内にサテライトオフィスを新たに整備する事業者と、函館でテレワークを行う企業への助成を行う「サテライトオフィス開発等支援事業」も進めている。市経済部は「ツアー参加企業にはサテライトオフィスの整備を進めていることも説明し、函館でのテレワークの利便性をアピールすることで、首都圏からの企業誘致や移住促進の可能性を広げていきたい」としている。(小川俊之)