函館マラソン大会実行委と函館大は21日、7月7日に開催した「2019函館マラソン」の市内への経済波及効果が6億1000万円だったとする試算結果を明らかにした。昨年からは3000万円増加しており、大会運営費の中でも域内消費額が増えたことが要因とみている。
函大の大橋美幸准教授(地域学)のゼミが毎年アンケートを実施。昨年までは参加者に紙を配ったが、今回からインターネットに切り替え、フル・ハーフの出場者7436人中1358人(18・3%)が回答。同ゼミ2年の鎌田一希さん、倉岡朝柊(あさひ)さんら4人が担当した。
参加者と同行者が宿泊や飲食、土産などに消費した総額を約2億6788万円と計算。生産誘発倍率1・49を乗じた額は約4億円で、昨年と同額だった。これに、大会運営費1億6420万円を道地域間産業連関表(2005年)に入れ込んだ約2億1000万円を加え、合計で6億1000万円とした。
大会運営費は昨年とほぼ同額だったが、市教委は域内消費額が前年の73%から79・8%に伸びたことが波及効果の増額につながったと分析する。
大会の満足度を9項目にわたって調査したところ、救護体制は「満足」が85・7%で、昨年より13・6ポイント増。17年からバスを使用し、冷房をきかせてランナーの体をケアしており、今年は担当スタッフを約25人増やした。また、制限時間は82・6%が「満足」と回答(昨年比3・8ポイント増)。今年からフルで10分延ばし5時間半としたことが評価につながった。沿道の応援も85・2%(同5・7ポイント増)だった。
一方、昨年大雨に見舞われたことを契機に、千代台公園多目的広場からオーシャンスタジアムに開催場所を移した、おもてなしイベントは「満足」が67・8%(同15・8ポイント増)と高かったが、同じ千代台多目的広場から陸上競技場内の雨天走路に移した荷物預かりは満足が49・9%(同3・2ポイント減)と下がる結果に。預かり場所の入り口が狭く、スタート直前まで混雑したという。
実行委は「毎年改良を加えながら、評価が上がっているのはうれしい。多くの市民に支えられているという気持ちを忘れずに取り組んでいきたい」としている。
来年は7月5日に開催する。(千葉卓陽)