函館の市民団体「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)が、国と電源開発(本社東京)を相手取り、青森県大間町に建設中の大間原発の建設・差し止めを求めた訴訟の判決が19日午後3時から、函館地裁で言い渡される。2011年3月の東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の発生後、建設中の原発に対する差し止めの全国初の司法判断となり、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を全炉心で使う「フルMOX」の安全性や、活断層の有無などが争点となっている。
大間原発は使用済み核燃料から取り出したMOX燃料を使用する世界初の商業用原子炉。2008年に着工し、2024年度の運転開始を目指すが、現在は東日本大震災による工事の中断、原子力規制委員会による新規性基準による適合性審査により、本格工事に着手していない。
2010年7月28日に原告168人で提訴され、第9次提訴まで原告総数は1168人に上った。現在の原告は函館市を中心に、青森県、札幌市などの1166人となっている。
裁判で原告団は、世界的に長期の稼働によるデータの蓄積がないフルMOX燃料の安全性への疑問や、使用済みMOX燃料処理の問題、大間原発の敷地や周辺の活断層の有無、海底火山・銭亀火山の活動の可能性、原子力規制委員会による規制基準の妥当性などを指摘してきた。一方、被告側は安全性が十分に確保されているとし、建設の妥当性を訴え、訴訟は17年6月30日に結審した。
訴訟から7年半。司法が原発の建設に対しどのような判決を下すのかに注目が集まる。判決は函館市が2014年に起こした建設凍結を求める訴訟に影響を与えることも必至。判決を前に竹田代表は改めて国のエネルギー政策の中に原発は不要との考えを示し、「(函館地裁には)将来に責任のある司法判断を期待したい。良い判決が出るように祈っている」と話している。(大谷健人)