函館市は23日、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)、ビッグデータの先端技術を使ったまちづくり構想「はこだて未来AIビジョン」のたたき台をまとめた。「函館の地域特性を生かしたプロジェクトの推進」「地域内でのノウハウの蓄積」「好循環サイクルの構築による発展的展開」の3点を基本方針に、人手不足の解消、生産性向上に向けた取り組みを強化する。また、市は関係団体で構成する「はこだて未来AIビジョン推進会議」(仮称)を、新年度に立ち上げる方針を明らかにした。
同日の有識者による「まちづくり構想検討懇話会」の第2回会合で、事務局の市が示した。
懇話会には、AI研究の第一人者として著名な松原仁公立はこだて未来大教授ら8人が参加。未来大や函館高専などAIに関する専門的な知見を有する大学・研究機関が集積する強みを生かしたまちづくりを進めるため、昨年12月に初会合を開いた。
たたき台には、重点施策として①AI技術を活用した労働生産性の向上②医療・介護・健康分野への活用の促進③産学官金の連携によるAI関連企業の集積―を盛り込んだ。①では、AIを使い農業や漁業、観光業、サービス業などあらゆる分野で作業の省力化や効率化を目指す。
このほか、中長期的な施策としてAI技術への理解促進、特色ある教育プログラムを展開した人材の育成、行政でのAI技術の積極的な活用、まちづくりの多様な分野でのAI技術の実用化、将来を展望した取り組みの促進、AI先端都市としての新たな都市ブランドの形成―の6つを明記。この中では、市役所職員が行う業務を、将来的にAIやロボットに置き換えることを想定している。
ビジョンは庁内会議やパブリックコメント(意見公募手続き)を経て、3月に成案化。推進会議は懇話会の構成団体を中心に情報共有の場として設立する。
種田貴司市企画部長は「ビジョンを作りながら、実際に動き出すことが大事だ。地域の企業に興味を持ってもらえるモデルをつくっていきたい」と力を込めた。(山崎大和)