国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)は、函館市の垣ノ島、大船両遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、世界文化遺産の「記載(登録)は適当」と勧告した。文化庁が26日に明かした。勧告は事実上の“登録内定”で、7月にオンラインで行われる世界遺産委員会の審査を経て正式決定される運びとなった。(小杉貴洋、海老田暁)
道内の構成資産は、垣ノ島遺跡、大船遺跡、キウス周提墓群(千歳市)、北黄金貝塚(伊達市)、入江貝塚、高砂貝塚(胆振管内洞爺湖町)で、関連資産として鷲ノ木遺跡(森町)がある。北東北3県(青森、秋田、岩手)11カ所と合わせて計17の遺跡で構成されている。
勧告の内容は、「登録」「不登録」のほか、「情報照会」「登録延期」の4段階で示され、勧告内容を踏まえて同委員会が審査するが、今回の「登録」勧告は最も高い評価。ユネスコへの推薦書などでは、同遺跡群が1万年にわたって続いた縄文時代の「高度で複雑な精神文化を顕著に示している」とアピールしていた。
2019年12月に、政府がユネスコ世界遺産センターへの推薦を決定。昨年9月にはイコモスの専門家が現地を調査していた。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で同委員会が延期され、今年は世界自然遺産に推薦されている「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)とともに2年分の登録審査を行う。
同遺跡群が世界文化遺産に登録されると国内20例目となる。