1月末に閉店したJR函館駅前の老舗百貨店、旧棒二森屋(若松町)の本館塔屋にある同店のロゴマークが描かれた看板が、間もなく見納めになる。現在ロゴマークを消す塗装作業のための準備が進められている。駅前のシンボルとして長年親しまれてきただけに、市民からはあらためて惜しむ声が上がっている。
同店の記録本「棒二森屋物語」の著者の小池田清六さんによると、ひらがなの「に」の形に見えるロゴマークは、近江商人が行商のために使用していた2本の天秤棒が由来で、1本は商品を載せるため、もう1本はスペアとして持ち歩いていたことから、用意周到さなどを強調するために採用されたという。
2月28日午後6時現在、塔屋の周りには塗装作業のための足場が組まれている。市内西桔梗町の団体職員、中川正さん(60)は「時代とともに景色が変わっていくのは仕方ないが、駅前の象徴だった棒二さんのマークがもう見られなくなるのはやっぱり寂しい」と話していた。(金子真人)