国内第1号の復元ストーブがある箱館高田屋嘉兵衛資料館(函館市末広町13)で25日、火入れ式が行われた。市民ら約45人が参加し、まきストーブで冷えた体を温めた。
1856(安政3)年、箱館奉行・村垣淡路守は、役人たちの防寒対策を検討する中で五稜郭を設計した武田斐三郎に依頼し、当時停泊中だったイギリス船に武田を送り込み、実物のストーブをスケッチした。これを元に函館の鉄工所でストーブの製造を行い、11月25日に試しだきをしたとされる。1988年に当時の図面から復元、11月25日を「ストーブの日」として年1回火をともし、先人の労苦をしのんでいる。
火入れ式では、高さ90センチ、胴回り48センチ、重さ90キロの復元ストーブに同館の酒井賢佑館長が点火。すぐに赤々とした炎に包まれ、参加者は手をかざして暖かさを感じていた。市内の70代主婦は「感動した。昔の人はすごく頭を使って考えたと思うので本当にすごい」と笑顔で話していた。(北川隼夢)