北海道和種馬保存協会(札幌、近藤誠司会長)は18日、函館市蛾眉野町で北海道和種馬(ドサンコ)に物資を乗せて不整地を歩く災害救助デモンストレーションを行った。6頭のドサンコに最大で70キロを超える荷物などをくくりつけて、笹やぶや山道など約1・5キロを歩いた。
災害発生時にドサンコの能力を活用しようと、同協会は2014年から毎年市内で物資搬送を試験的に行っている。地震や台風、大雨などの自然災害で孤立集落が発生したと想定し、5年目となる今回は、蛾眉野地区で1周約1・5キロのコースを設定。笹やぶやススキの群落、沢辺、山道など起伏に富み、人の手が入っていない不整地が大半を占めた。
馬は、市内上湯川町の林業、古本詳二さん(49)所有のドサンコ6頭。1本のロープを利用する駄載(ださい)技術は道南では特に「だんづけ」と呼ばれ、荷物の種類、形状によって結い方が異なるという。古本さんは技術を継承する一人で、ポリタンクが計6個入ったかごやまき、袋など、6頭分のだんづけには30~40分掛かったが、馬たちはおとなしく作業が終わるのを待った。
コース上に出た後も馬たちは隊列を崩したり、荷物を落とすことなく、力強く前へと進み、30分程度で踏破した。古本さんは「上り下りで馬が滑ったりしないようにしたり、後ろの馬には特に気を遣う。災害時の初動として食糧でも毛布でも孤立したところに届けることができればいい。馬の伝統文化も引き継がれる意義のある活動」と話した。
同協会の白井興一事務局長(76)は「車では行けないような場所も人が通ることができればドサンコで行くことができる。今後も続けていきたい」と話していた。(今井正一)