道教育大函館校は22日、地域協働プロジェクトの一環として公開講演会を開いた。同校の田村伊知朗教授(社会学)が「富山市の路面電車ルネサンスに関する政治学的考察」と題して同市の事例を報告した。
富山市でLRT(次世代路面電車)として開業した富山ライトレールは、JRの富山港線の軌道を活用した路線。富山駅を挟んで、富山地方鉄道富山市内軌道線が走っており、南北接続に向けた事業が進められている。
ライトレールは主に住宅街、市内軌道線は観光名所や市街地を走り、公共交通の中核に据えたコンパクトなまちづくりを進めている。田村教授は富山市の動きを、自動車社会からの転換に路面電車を活用した1980年代のドイツにおける交通政策になぞらえ、「路面電車ルネサンス」とした。
富山のLRT事業化の原動力として、国土交通省出身の助役(現副市長)に着目。同市では、長年、旧自治省出身者が長年助役を務めていたが、2002年に国交省都市・地域整備局から2人目の助役を迎え入れ、現在まで5人が国交省から副市長に就任。路面電車への転換とLRT導入推進につながったと指摘。一方で、「中央省庁の官僚に来てもらうためには、それなりの青写真が必要で時間がかかる」などと述べた。(今井正一)