2011年3月11日の東日本大震災から丸6年を迎える。岩手、宮城、福島の東北3県を中心に復興が進む一方、今なお支援を必要としている人たちがいる。道南からも被災地に心を寄せながら、さまざまな形で支援が続いている。
■ひまわり
善意が支える舞台 原点忘れず「皆の力で」
○…函館ひまわりチャリティーコンサート実行委員会(手塚美子委員長)は、毎年1回、市民会館を会場にイベントを開催。プロからアマ、ジャンルを問わず、歌あり、踊りありの長時間に及ぶステージを多くの出演者や観客、協賛企業の善意が支えている。日本赤十字社を通じた義援金は過去6回の累計で692万円を超える。
震災直後の11年3月、手塚さんは司会の仕事で歌手の近江亜矢さんらと鹿部町を訪れた。漁業関連施設が津波の被害を受けたばかりで、漂う自粛ムード。身近な地域も元気をなくしていることに気付き、被災地の力になりたいと、帰り道にイベント開催を決めた。わずか2カ月後の同5月に、市民会館大ホールを埋め尽くし、136万円もの義援金を集めた。
昨年10月の第6回公演も演歌に歌謡曲、民謡、舞踊、フラダンスなど演目は50を超えた。手塚さんは「入場料は500円。当日来られなくても前売り券を買ってくれる人も多い」と話す。現在は、今年8月20日の第7回公演に向けて準備を進めている。市民会館が改修工事に入るため、今年で一区切りとする。
手塚さんは「『まだやっているの?』という声もあったり、被災地でも日常が戻りつつあると思う。でも、原発事故で帰れない人、復興や復旧に到達しない人はたくさんいる。コンサートのタイトルは『皆の力で!!』。震災を忘れないことがわたしたちの原点です」と力を込める。
■ほんわか
子ども遊ばせたい 喜ぶ姿、活動の原動力に
○…毎年夏休みに福島県の子どもたちを受け入れている市民団体・子どもを応援する会「ほんわか」(田中いずみ代表)。東京電力福島第一原発事故の影響で外遊びもできず、不自由な思いをした子どもたちを思い切り外で遊ばせたい。5年の活動で道南を訪れた子どもたちは延べ101人になった。
発足は11年9月。田中さんらは原発事故後の初めての夏休みを福島県外で過ごした子どもたちは決して多くはなかったことを知った。12年夏から子どもたちを招き、昨年も7泊8日の日程でホームステイをしながら、食育、木育を軸にした活動を体験させた。活動費は200人を超える正・賛助会員、支援団体からの助成金のほか、マルシェやバザーの売り上げを充てる。会場提供やバス運行など七飯町による活動支援も大きいという。
秋には畑で収穫した野菜やリンゴを送り、福島での報告会も開催。再会を喜び合う姿が原動力となり、田中さんは「また来年もやろうという気持ちになる」と話す。昨年8月には過去の参加者を招いたリメンバープログラムも初めて開き、中高生へと成長した子どもたちと楽しい時間を過ごした。
当初、保養を目的に始めた活動も、福島の保護者の意識や子どもたちを取り巻く状況の変化、多様化も感じている。来年夏の受け入れで活動の区切りとする考えだ。田中さんは「あと2年の活動に全力を注ぎたい」としている。(今井正一)