【八雲】9月3日の「クマさんの日」にちなみ、八雲発祥の「木彫り熊」100周年を祝う「クマさんの日トークイベント」(町教委主催)が8月31、9月1日の両日、はぴあ八雲で開かれた。木彫り熊のルーツとされるスイスの木彫工房の経営者らをゲストに迎え、誕生に深く関わった尾張徳川家の歴史や、次の100年を見据えた魅力について考えた。
八雲町は、尾張徳川家の主導で開拓された。同家19代当主の徳川義親は、スイスで買い求めた工芸品を参考に、農閑期の副業として木彫り熊の制作を勧め、町に根付かせた。今年は、1924年に道内第1号の木彫り熊が品評会に出品されてから100年の節目に当たる。
トークイベントには、のべ258人が来場。31日には、徳川義親が木彫りのクマを買った縁があるスイス・ブリエンツ市のジョバン社の5代目、フラビウス・ジョバンさん(56)が登壇し、同社の約100年前の木彫製品を町に贈呈した。返礼として、岩村克詔町長が茂木多喜治(1902~76)作の木彫り熊などを贈った。また、スイスを何度も訪れて同社との交流を深めてきた鈴木譲さん(83)=町本町=にも、岩村町長から記念品が贈られた。
ジョバンさんは、「八雲の木彫り熊は、表現がとても多様で面白い」と評する。スイスはクマが生息しないので、かわいらしいマスコットのような姿だが、八雲の作家はクマを実際に見ているため、造形が生き生きしているという。「八雲でも、スイスのように実用的な小物にも挑戦してほしい」と話していた。
31日はこのほか、ジョバンさんがブリエンツの木彫工芸の歴史を紹介、尾張徳川家第22代当主の徳川義崇さんがビデオメッセージを寄せた。会場ロビーには、ジョバン社から送られたさまざまな動物の木彫小物や、ひょうきんなポーズの木彫りのクマが飾られ、来場者の興味を引いていた。(神部 造)