【七飯】町鳴川4の国道5号(赤松街道)で、函館開発建設部が沿道に生えるケヤキの木10本を伐採していたことが分かった。函館開建は枝が雪の重みで折れ、車に当たって傷つき、国家賠償の対象になるなどしたため、安全を考慮して伐採した。町は、歴史的な価値がある樹木の伐採について「関係課や関係団体との情報共有が不足していた」(環境生活課)としている。
函館開建がケヤキを伐採したのは7月27日~8月1日。ケヤキの樹高は20メートル超。今年1月には、雪の重みで枝が折れ、車に当たって損害が発生し、国家賠償の対象になる事案が1件あった。また、民有地の地権者から枝や葉が落下し被害を与える恐れがあり、伐採要望も上がっていたという。
町環境生活課によると、函館開建から7月5日付の文書でケヤキ伐採の打診を受け、同12日に町で受け付け、同21日に決済が済んだ。決済は副町長で終わっており、町が伐採に同意した。
伐採後、町に対し町民から電話と来庁で計3件の苦情が来たほか、経緯を尋ねるケースも2件あった。
函館開建函館道路事務所は「道路管理者として適正な手続きを踏んで伐採したと認識している」とする。
赤松街道は函館市桔梗町~七飯町峠下の14・3キロで、1986年に「日本の道百選」に選ばれ、90年には道の日の愛称募集で「赤松街道」と命名。96年には歴史的・文化的価値を持つ道路であることを示す「歴史国道」にも選定されている。アカマツ、クロマツ、ケヤキは赤松街道を構成する重要な樹種となっており、ケヤキが生えているのは鳴川4付近のみ。
問題を受け、町議会は、9月6日開会予定の定例会で調査特別委員会を設置する。ケヤキ伐採の経過を調査し、今後の保全対策を検討する方針。
同課の村山徳収課長は「歴史的な価値がある樹木について、関係課や関係団体の意見を聞く行為を怠っていた。幅広く意見を聞いてから判断すべきだった」としている。(山崎大和)