函館市が民間業者に売却し、ホテルや販売スペースなどを備えた総合施設として再生する「旧ロシア領事館」(船見町)の改修工事が1日に始まった。2025年のオープンを目指す。
ロシア領事館は1858(安政5)年に初めて置かれたが、大火による焼失や移転を繰り返し、1908(明治41)年に現在の建物が完成。戦後、国が所有した後に市が購入し、65~96年に研修施設「道南青年の家」として活用されたが、建物の老朽化が進む現状を受け、公開プロポーザル(提案型公募)方式で愛知県の自動車部品・用品卸業「ソヴリン」に売却が決まった。
同社は「ヒストリカルホテルプロジェクト」をテーマに再生計画を提案。最新の耐震補強技術で歴史的建造物を保存し、本館1階の歴史的・文化的価値を残し既存物を可能な限り有効活用する。本館に2室、増築棟に4室の宿泊ルームを設け、日ロ交流の歴史的に貴重な写真を展示するライブラリーカフェや、ロシア料理を提供するレストランの設置など計画している。
また、函館とゆかりの深い作家の谷村志穂さんからも改修へのアドバイスも受けていて、建物の歴史的・文化的価値を生かしながら、地域のにぎわいの創出を目指すとしている。(小川俊之)