来年3月26日に開業する北海道新幹線の収支見通しについて、JR北海道が開業当初の3年間(2016~18年度)で、平均約48億円の赤字を見込んでいることが19日までに分かった老朽化した青函トンネルの維持などに多額の費用がかかるためだ支出に対する収入の割合を示す収支率は69・7%で、平均80%前後の他の整備新幹線と比べても低い水準にとどまり、多難な船出となりそうだ
同社が国土交通省に提出した資料によると、実質的な開業初年度の16年度が約52億円、17年度約51億円、18年度約42億円のそれぞれ赤字を見込む年平均の試算では、運賃・料金などの収入111億3800万円に対し、支出は159億7600万円このうち、施設維持などの経費が78億6500万円と約半分を占める
北海道新幹線は、他の新幹線にはない貨物列車との共用区間(約82キロ)を持つ同社は「点検や補修は短時間で行う必要があり、大量の作業員を投入するため人件費がかかる」とするまた、同区間はレールが3本敷かれた三線軌条となっており、他の新幹線と比べて保守費用もかさむとみられる
同省によると、今春開業した北陸新幹線で、JR東日本が試算した15~17年度の収支率は87・3%JR西日本は77・3%を見込んでいる
一方で、新幹線開業に伴う江差線五稜郭―木古内間の経営分離で赤字が圧縮されるほか、新函館北斗から函館、札幌方面へ向かう在来線利用客の増加が見込まれることから、同社は「新幹線の収支は大変厳しいが、全体でみるとプラスマイナスゼロになると認識している新幹線と在来線の利用拡大に努めたい」としている(山田大輔)