【鹿部】5月28日から七飯町の駒ケ岳山麓で遭難していた、北斗市内の小学校2年生男児(7)が3日午前7時50分ごろ、鹿部町内の陸上自衛隊駒ケ岳演習場内の休憩施設で無事発見、保護された。発見時に目立ったけがはなく、名前を名乗ったという。行方不明から7日目にしての発見に、家族らに安堵(あんど)が広がった。
男児が見つかった小屋は、遭難現場から直線で約7キロ。演習場につながる砂利道をたどりながら、一人で歩いて小屋に着いた可能性が高い。建物は出入り口が2カ所あり、1カ所の鍵が開いていたため、そこから中に入ったとみられる。男児は小屋に備え付けのマットレス2枚にはさまって寒さをしのぎながら、小屋のすぐ外にある蛇口を使い、水道水を飲んで過ごしたと説明している。発見時に食べ物は所持していなかった。
5月30日午前には自衛隊関係者が点検のため小屋の中に入っていたが、その時は発見できなかった。
男児はドクターヘリで搬送され、3日午前9時10分ごろ市立函館病院に到着、両親と対面した。同病院によると、男児は手足にすり傷、軽い脱水症状などが見られたが、命に別条はない。この日は大事をとって入院し、家族と過ごしている。4日にも退院する。
道警によると、28日午後5時ごろ、父親(44)から「山菜採り中にはぐれた」と通報があったが、その後、家族で出掛けた鹿部町内の公園で男児が車道側の土手に石を投げるなどしたため、言うことをきかせるためのしつけとして、山中に置き去りにしてきたことが判明。父親は取材に、すぐ戻るつもりで2度置き去りをしていたと明かし、2度目の後に歩いて見に行ったら「いなかった」と述べていた。
これを受けて、七飯町を主体に消防や道警などが3日までに延べ約1000人を投入して捜索活動を続けていた。今月1日から自衛隊が加わり、2日には180人に及ぶ最大規模の人海戦術を展開したものの手掛かりはなく、同日で大捜索を終えることを決めていた。発見された演習場の敷地は、捜索の対象から外れていた。
男児が通う北斗市内の小学校では、無事の一報が届くと同級生らが大きな声を上げて喜んだ。発見現場には報道陣が大挙し、自衛隊幹部が対応に追われた。海外のテレビ局が取材に駆け付けるなど、世界的にも大きな関心事となった。