学校法人野又学園(函館、野又淳司理事長)は、函館短大付設調理製菓専門学校(柏木町、同校長)の校舎増築工事を進めている。施設の拡張により、料理講習会や食育講座、レシピ開発を通じた地域への貢献活動を充実させるほか、調理師学校では珍しい外国人受講生も受け入れて道産食材の良さを知ってもらう考えだ。3月上旬に完成、新年度に使用を始める。
現校舎が1979年に建築されて以降、同校の大規模な増築は初めて。既存校舎の老朽化に加え「地域から食に関する幅広い学びの依頼を受けるので、それに応えていきたい」(野又校長)とし、昨年10月に現校舎隣に着工した。
新校舎は鉄骨造2階建て延べ690平方メートル。既存校舎と1階の渡り廊下でつなげ、1階に第2調理実習室、食文化演習室、2階に第2製菓実習室、普通教室を整備する。食文化演習室は和の内装を施し、ゆったりと試食ができる場所として活用する。人を呼んで、料理を提供する実践形式の授業を増やせるメリットもあるという。
世界的な日本食ブームの中、北海道で料理を勉強したい外国人に対し、短期間の講習を受けてもらう場を提供する。官民レベルで函館と交流があるシンガポールを中心に、ASEAN(東南アジア諸国連合)から最初は5人程度を受け入れ、徐々に人数を増やすことも検討。2週間~2カ月ほどの期間で、食文化演習室を使い日本文化を体験してもらうことも想定している。
また、通常の学生に関しても製菓衛生師科の定員(現行60人)を増やす方向だ。野又校長は「北海道の食は世界に目を向けることが重要。調理の世界を志す学生をもっと増やしたい」と意気込んでいる。(山崎大和)