道南いさりび鉄道(函館、川越英雄社長)の食に特化した新たな観光列車「いさ鉄Bistroながまれ号」が、8日に初運行した。函館―木古内間を往復し、車内では道南食材をふんだんに使った料理を地酒やワインと合わせて提供。乗客は車窓から望む津軽海峡の景色と共に満喫した。
同社は開業年の2016年から、日帰り旅行で鉄道沿線の魅力に触れる観光列車「ながまれ海峡号」を毎年運行している。今回はテーマを「食」に絞り込み、道南食材をはじめ、一層の魅力発信につなげるのがコンセプト。観光庁の「地域観光新発見事業」の補助金を活用し、日本旅行グループが中心となり、函館、北斗、木古内の沿線自治体が関わって企画を進めてきた。
8日は同社の車両「ながまれ号」2両編成で運行し、市民11人と自治体関係者ら計25人が乗車した。料理は函館市五稜郭町の居酒屋「二代目佐平次」(山形智店主)が腕を振るい、同列車限定の「いさ鉄Bistro四段お重」を用意。函館産ブリを生地で挟んで焼いたファーブルトンや木古内産マコガレイのおから酢、北斗・おぐに和牛のローストビーフ、函館産エゾシカ肉の春巻き、北斗産トマトの和風カプレーゼなど地場の素材にこだわった約20種類の料理が詰め込まれ、農楽蔵、ドゥエ・プンティの白ワインや五稜乃蔵、みそぎの舞の日本酒と共に舌鼓を打った。
食事のほか、一時停車した上磯駅では北斗市の公式キャラクター・ずーしーほっきーの歓迎を受け、木古内駅到着後は道の駅「みそぎの郷きこない」での買い物を楽しんだ。木古内からの復路では道の駅内のイタリアンレストラン・どうなんデスも協力し、スイーツを振る舞った。
夫婦で参加した七飯町本町2の西田幸義さん(73)は「料理は地元食材をたくさん使っていて酒との相性も良かった」、妻の真智子さん(71)は「地元の人もいさ鉄に乗るきっかけになる良い企画」と話していた。
いさ鉄Bistroながまれ号は23日にも運行予定(すでに予約は満席)。同社は2回の運行をベースとし、来年度以降の新たな観光列車の企画に生かしたい考え。同社企画営業課の春井満広担当課長は「降車時のお客さんの反応も良く、満足していただけたのでは」とし「より沿線の魅力を伝える観光列車として地域で育てていきたい。観光列車の利用を定期列車の利用につなげ、地域を盛り上げていきたい」と意気込む。(飯尾遼太)