独立美術協会の第85回独立展に油彩画「思考」を初出展した函館市元町の油彩画家、中村友子さん(67)が、このほど初入選を果たした。「入選には驚いている。今後も出展を考えており、励みになった。さらに勉強していかなくては」と話している。
「思考」(1・62メートル四方)は、頭を抱える黒人女性やキャンバスに見立てた背景の白いレリーフ、ギターや人形、牛の頭骨、ドライフラワーなどを配した静物画。同協会会員で函館の画家、輪島進一さん(65)は「モチーフや色づかい、筆のタッチに内面性の厚みと重みを感じる」と評する。
東京出身で、2009年から函館で暮らす。「東京の友人に絵を見せたかった。独立美術協会には尊敬する画家が多く、そこで自分の実力を試したかった」と経緯を語る。かつて描いた習作をヒントに、昨年から自宅のアトリエで1年かけて取り組んだという。
作品は今月30日まで東京国立新美術館で展示された後、京都、大阪、名古屋、福岡を経て、来年4月1~12日には道立近代美術館(札幌)に巡回する。同展に搬入された作品は1341点で、このうち入選者は611人、このうち初入選者は70人だった。
また、中村さんは11月7日から12日まで、札幌のギャラリー大通美術館で全道展の入賞者だけが出展できる「新鋭展」で新作を披露するという。
独立美術協会は三岸好太郎らによって「新時代の美術の確立」などの宣言から1930(昭和5)年11月創立。翌31年1月に東京府美術館(現・東京都美術館)で第1回独立展を開いて以降、近代美術史を彩る画家らを輩出している。(半澤孝平)