【七飯】七飯町の郷土芸能として親しまれている和太鼓の七飯男爵太鼓。演奏団体「七飯男爵太鼓創作会」で長く会長を務めてきた高橋理沙さん(38)が今月末で退団し、野田匠実さん(25)にバトンタッチする。高橋さんは「七飯男爵太鼓は地域の宝。次世代にしっかりと引き継いでほしい」と願い、後進に道を譲る。4月から野田さんをトップとする新体制がスタートするのを前に、29日にお披露目会を開く。
同会は1980年に設立。明治時代の実業家で男爵イモの生みの親、川田龍吉の業績を伝えようと会の名前にした。町の郷土芸能としてさまざまな舞台で演奏活動を繰り広げ、地域に根付いている。
高橋会長は小学校4年から、大学進学で七飯を離れるまで同会で活動。2011年に帰郷した後、同会に戻り、17年に4代目の会長になった。
帰郷したときの同会の活動は停滞気味。会長になった当時を振り返り、「創作会を立て直すこと、地域の宝を守り続けていく仕組みをつくることを使命、ミッションに掲げた」と話す。
大学時代に宮城県在住の邦洋楽作曲家、佐藤三昭さんに師事し、創作表現を学んだ。同会では佐藤さんから学んだことを生かし、川田や石川啄木などをテーマにした創作劇にも取り組み、活動を充実させた。
会長就任から8年が経ち、「当初掲げたミッション、役割を果たしたのでは」。そんな思いが募り、会長の交代と退団を決断。「地域や仲間に支えられ、未来に引き継ぐための土台をつくることができた。後に続く人もこの先道に迷うことはないだろう」と晴れやかな表情を見せる。
5代目の会長に就く野田さんは入団1年目だが、長くバンド活動をしており、音楽、ステージ経験は豊富だ。今年1月に会長就任の打診を受け、引き受けることにした。「不安はなく、楽しみ。創作会の音や物語をどう引き継いでいくかを考えている。これからは全員が柱になるような活動を展開していければ」と決意を口にした。高橋さんは「和太鼓でふるさとの鼓動を表現し続けてほしい」と次代に期待を寄せた。
高橋さんは童話作家としても活躍しており、今後新たな表現活動を繰り広げるつもりという。
5代目継承記念お披露目会は29日午後6時半から町文化センターで行う。入場無料。問い合わせは同会事務局(メール、dadada_wadaiko@yahoo.co.jp)へ。(松宮一郎)