補聴器のすすめ
聴力は日常生活を送る上で非常に重要です。聴力の低下により生活に支障をきたすことがあり、ご本人だけではなく、一緒に暮らしているご家族にも負担がかかる可能性もあります。TVの音が大きい、耳元で大きな声で話さないと聞こえない、聞こえたふりをするなどご家族に指摘され気付く場合が多いです。周りの人は心配していても、本人は全く気付いていなかったり、少しは気になっていても「まだまだ大丈夫」と思っていることが多いのです。
難聴と認知症は関連があるとされています。難聴になり、音が耳から入ってこなくなると徐々に頭を使わなくなり、認知症になることがあります。眼が悪くなれば、みなさん眼鏡をかけますが、耳が悪くなって補聴器を着ける方はあまりにも少ないのです。それはなぜでしょうか。日本人は補聴器に対して「年寄りくさい」「目立って恥ずかしい」といったネガティブなイメージを抱いている方が多く、補聴器を使用することは自分が歳を取ったのを認めることになるという意識が働くために、補聴器の使用をためらう人が多いからです。日本は他国に比べて圧倒的に補聴器装用率が低いのです。今は着けているのが目立たない補聴器はたくさんあります。
現在、補聴器は耳鼻咽喉科を受診しなくとも誰でも購入できます。高いお金を払って購入したのに耳に合わない、雑音が聞こえる、調整をしてくれないと、耳鼻咽喉科を受診される方が多くいらっしゃいます。補聴器は医療機器ですので、販売するだけではなく、アフターケアも重要ですので耳鼻咽喉科医師が常に管理できる環境で作成・ご購入されることをお勧めします。また、耳鼻咽喉科補聴器相談医により補聴器適合と診断の上で補聴器を購入された場合は、医療費控除を受けられます。
補聴器を着けることは恥ずかしいことではありません。ご自身のため、ご家族のため、補聴器を試してみてはいかがでしょうか。
略歴
平成20年、山形大学医学部卒業後、函館五稜郭病院の研修医を経て、札幌医科大学付属病院、KKR札幌医療センター、帯広厚生病院、帯広協会病院などで勤務。函館五稜郭病院耳鼻咽喉科科長を務め、令和6年5月、みはら耳鼻咽喉科を開院した。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会耳鼻咽喉科専門医。
(ハコラク 2026年2月号掲載)



