入れ歯の不具合について
入れ歯の不具合にはさまざまな原因が考えられます。
完成直後の入れ歯の痛みは型どり時や製作時の誤差による不適合が原因なことがあります。逆に適合の良い入れ歯ほど入れ歯の下の歯茎が慣れるまで細かい傷ができやすく調整が何度か必要な場合もあります。また、長期間入れ歯を使っていると入れ歯の下の骨がやせて入れ歯が合わなくなり外れやすくなったり、歯茎が過度に圧迫されて傷ができたり痛みが出ることがあります。これらを長期間放置すると歯茎にできた擦り傷が悪化して潰瘍ができたりすると激しい苦痛を伴い、治るのにも時間がかかります。そうなる前に歯科医院で適切な入れ歯の調整を受けることが大切です。
まれにご自分でヤスリがけして調整する方がいますが、適切な調整ができず表面も粗くなりかえって傷が悪化する恐れがありますので、そのような行為は避けた方が良いでしょう。また、市販の入れ歯安定剤の使用に関して短期の使用であれば問題はないが、長期間の使用により入れ歯の下の骨の吸収を助長するとの報告もあり、できれば避けた方が望ましいでしょう。
痛みを軽減するために、いくつかのセルフケアを試みることができます。まず、口腔ケアの徹底が重要で、歯磨きやうがいをすることで、口腔内の清潔を保ちます。また入れ歯の着用を一時的に避け、痛む箇所を休ませることも効果的です。入れ歯を外すことで、圧迫による痛みを緩和することが可能です。さらに、食事においても配慮が必要です。入れ歯は自分の歯と比べてかめる力が20%程度とも言われており、過度に固いものを避けることで口内の負担を軽減し、快適さを保つことも重要です。最後に、ストレスや不安も口内の痛みを悪化させる要因になることがあります。リラックスする時間を持つことや、ストレスを軽減する方法を見つけることも、痛みの管理に役立つでしょう。詳細はかかりつけや近隣の歯科医院にご相談ください。
(ハコラク 2026年1月号掲載)
略歴
平成10年、日本歯科大学新潟歯学部を卒業し、平成14年、日本歯科大学大学院卒業(歯学博士号取得)。大学病院・東京での勤務医を経て平成18年に西巻デンタルオフィス五稜郭を開院。



