臥牛山2月11日・不幸中の幸い
「またか」…。一報を耳にし、そんな思いにかられた。北海道新幹線開業まで残すところ約1カ月半。今のうちに〝生みの苦しみ〟を味わっておいた方がいいということなのかもしれない▼JR北海道などが9日未明、青函トンネルで初めて実施した避難訓練。竜飛定点での訓練後、青森方向から到着した救援列車が新青森駅へと向かう際に突然停電し、約20分間トンネル内で立ち往生した。定点での訓練を無事に終えた後に、また新たな課題が見つかった格好だ▼鉄道も自動車と同様に左側を走行するが、救援列車は右側、いわゆる逆走する形だった。この際、変電所からの送電を手動で切り替える必要があったが、操作がうまくいかなかったのが原因という▼訓練車両に乗っていた同社の島田修社長にとっては痛恨の極みであっただろう。「不慣れだった」との言葉を何度も繰り返したが、青函トンネルを無事に通り抜けるという他の新幹線にないハンディを乗り越えずして安全運行は成し得ない▼ただ、今回起きた事態が3月26日の開業前だったのは〝不幸中の幸い〟という以外にない。残された時間は短いが、起こりうるトラブルを一つ一つクリアし、万全の状態で開業を迎えてほしい。(C)