コープさっぽろ(札幌)は25日、宅配事業本部函館センター(西桔梗町)に食事を定期的に届ける配食サービスの専用車を配置した。道南では初めてで、エリアは函館・北斗両市と七飯町に対応。18台を導入し、食事の配達を通して高齢者の見守り活動にも力を入れる考えだ。
配食事業は2010年にスタート。基本メニューは、普通食(1食607円)と低カロリー食(同513円)の2種類。週2回以上栄養バランスを考えた夕食を届け、20日時点で函館市内577人を含む全道で約6500人が利用している。
これまでドライバーの持ち込み車両で配達していたが、容量約50リットルの保冷スペースを備えた専用車を導入し、需要の拡大に対応。オレンジ色で同じデザインの配達車が各地を走行することで配食サービスをPRする効果もあり、道内ではすでに18の拠点で135台が稼働している。
同社によると、函館市内の利用者の8割は65歳以上で、そのうち半数近くが一人暮らし。5年ほど前から週3回サービスを利用する桔梗町の宮原則夫さん(86)は「一人住まいなので、スーパーで1人分の材料を買って料理するのは大変。おかずのバランスもよく、晩酌にもいいので重宝している」と笑顔で話す。
11年に函館市と「高齢者の地域見守り活動に関する協定」を結んだ同社は、配達時に高齢者の安否確認なども行っており、異変に気づいたドライバーが関係先へ連絡した事例が、17年3月末までに20件あったという。配達員には救命講習や認知症サポーター講習の受講を促し、今後も見守り活動を強化する方針だ。
この日は同センターで出発式が行われ、関係者がテープカットをして専用車の稼働を祝った。同社は本年度中に函館、近郊の利用者を700人まで増やしたい考えで、同社の中島則裕専務理事は「住み慣れた地域で豊かに暮らし続ける地域づくりを応援し、安心・安全の取り組みを前進させたい」と話している。(山田大輔)