関西の友人から取り扱い注意のダンボールが届いた。中からは何重にも梱包材でガードされた美しい菓子折りが出てきた。季節限定の節分のお菓子だった。白い和紙でくるまれ、赤いひもがかけてあった。そこに柊の一枝。白と赤と緑の組み合わせはクリスマスも連想させるが、目の前の箱は明らかに日本の色だった。赤を紅と書き換えよう。
紅白の餅や饅頭(まんじゅう)は祝い事の定番。そして紅白の水引は「御祝」や「寿」などの墨文字とともに多くの人のハレの日の記憶にあるだろう。紅白は私たちの幸せな思い出と重なり、よい兆(きざ)しとして受け入れられてきた。だが、いつごろからだろうか、熨斗(のし)袋の水引にパステルカラーが見られるようになった。祝いの色が多様になってきたのだ。水引はリボンとはその意味も機能も違うはずだが、混同されて時代の変化とともに変わってきた。私も年をとったのだろう。慶事の水引は紅白か金銀がいい。白い和紙に結ばれる紅白や金銀の水引は凛として実に美しい。そして右紅左白。「うこうさはく」と読む。紅白なら紅が右、金銀なら金が右。そんなしきたりも今は聞くことが少ない。
菓子折りに添えられていた柊は、節分が近くなるとイワシの頭といっしょに軒先に吊るす。関西ではよく見かけた。魔除けのそんな風習が菓子折りに乗って全国に広まっていくのだと思うとなんだか楽しい。変遷する文化もあれば守られる文化、広まる文化もある。人間はやはりおもしろい。(生活デザイナー)