(荒井三津子さん・暮らしのパレット)「日本の色」

 5年前の3月11日は日本人にとって忘れられない日になった。20年前、関西でかつてないと言われた震災を経験したが、5年前の災害は誰の脳裡からも消えない、決して癒えることのない惨事になった。
 それは国公立大学の後期入学試験の前日。わが家の受験生もソワソワし始めた午後だった。テレビの画面に広がる情景は惨劇すぎて現実味はなかった。だが家族の誰とも電話がつながらないと分かった時の恐怖は、筆舌に尽くし難いものだった。
 皆同じだったと思う。自分にできることは何か、誰もが自らの良心につき動かされてそう考えたと思う。だが、この5年で日本という国はどのように変わったのだろうか。家族の意味を考え、人生を見直す機会を得た人も多かったはずだが、私たちはきちんと生きることを見つめ、日々大切に暮らしてきただろうか。今一度、胸に問いたいと強く思った今年の11日だった。
 日本人は心優しいと思う。穏やかな国民性だと思う。桜が咲けば喜び、その散るさまにまた心を動かされる。虫の音や木の葉の色の変化に敏感に時の流れを感じとる。繊細な人々だと思う。
 だが、日本が工芸に使う色を見るたびに、なんと強い国だろうとも思う。金色と黒と赤。赤は朱としたほうが良いだろうか。どの組み合わせも強く美しい。食器にもこの色の組み合わせを使うことは、他の国から見れば驚きらしい。強い日本、強い日本人であれ。いや、そうありたい。心からそう思う。(生活デザイナー)

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