生活全般の文化を研究しているので、生活デザイナーという肩書きを使うことがある。だが最近、彼女は生活デザイナーと名乗っているのに家の中は足の踏み場もないほど散らかっているそうだ、という噂を聞いて爆笑した。
確かに! 日々仕事と家事に追われ、特にイベントが重なると装飾やデザインの仕事に道具や材料は必須。反論はできない。だが、家が散らかっていても他人に迷惑はかからない。大人が避けるべきは他者への迷惑だろう。実は最近、ある講演が1週間前にキャンセルになった。かつて経験がなく仰天した。
だが、最も憤ったのは電話一本でキャンセルを告げられたことである。非常識さを指摘し、書面での説明を要求したところ、面識のない担当者から事情説明のみの書類がメールに添付されてきた。すでにこちらが使った時間と費用への謝罪や配慮はなかった。
何より残念なのは署名のない添付だったことである。記名と署名は違う。本人が署名すれば当然郵送になる。記名と押印があればビジネスでは問題はないが、謝罪文には捺印はなくともせめて自著だろう。誰もが知っている大企業の軽々な対応には言葉もなかった。インターネットの時代になり、失ったものの大きさを痛感した。
年末から元旦にかけて所用で私だけ家を空ける。初めておせちを購入してみようかと考えている。「便利さ」は安易にではなく、上手に使わなければなるまい。考えることの多い年末である。(生活デザイナー)