(荒井三津子さん・暮らしのパレット)「香辛料」

 長く「ちゃんとした料理」を作っていない。「ちゃんと」とは、時間をかけて様々な素材と一緒に煮込むとか、複雑なソースを作るとか、いろいろな調理法を組み合わせるなど。
 だとしたら、やはり久しく「ちゃんとした料理」は作っていない。塩焼き、塩ゆで、生のままおいしい塩とオイルで和える…。コショウと七味も出番は多いが主役は塩。92歳の母にはしょう油とみりんと砂糖と出汁か。いずれであれ調味料の種類は少ない。
 写真はニューヨークのマーケットである。量り売りの香辛料の種類の多さと、買いにくる人々の活気には驚いた。これぞ豊かな食の光景ではないかと撮影した時は思った。だが、なぜこれほどの香辛料を使うようになったのか。暑い気候の土地では、肉をはじめ食材の長期保存や調理には、強い香りが必須だったのではないだろうか。薬効も高く評価されてきたに違いない。
 それに比して、私たちの食文化は、刺身を代表として、新鮮な素材の味を生かすことを第一として発展してきた。同時に素材本来の香りこそ評価されてきた。そういう意味では和食の調味は嗅覚に関しては保守的かもしれない。だが、その代わり、素材の切り方には巧みな技を発展させ、他に類を見ない美しい料理になった。
 さて暑い日は素麺がうれしい。ネギとミョウガ、青じそがあれば最高である。日本には素晴らしい生の薬味がある。なんだか誇らしい。(生活デザイナー)

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