渡島、桧山の南西部210キロを走る「第1回道南ものがたりジャーニーラン」(NPO法人スポーツエイド・ジャパン主催)が23~25日に開かれた。函館を出発し、松前、江差などを回ってゴールの木古内を目指すレースで112人が出場し、49人が完走。横浜市の会社員、広沢志保さん(50)が25日午前1時48分に26時間48分30秒のタイムで初代の大会優勝者となった。
道南初開催のレース。23日午後11時に五稜郭公園をスタートし、国道228号を主要ルートに渡島西部から江差に向かい、上ノ国経由で制限時間となる25日午後2時まで(39時間以内)にゴールに設定された木古内の「ビュウ温泉のとや」を目指した。選手はスマートフォンでチェックポイント(12カ所)到達を自己申告する仕組みで、8カ所のエイドステーション(AS)が設けられた。
優勝した広沢さんは7月に青森県で開かれた「第8回みちのく津軽ジャーニーラン」の266キロ部門で優勝したばかりで、津軽海峡両岸の覇者となった。ゴール後も終始笑顔で「津軽を走って龍飛崎(青森県外ケ浜町)から向こう側も走りたいと思っていた。優勝は狙ってなかったのでびっくり」と喜んだ。ほどよい起伏のあるコースと景色を満喫したとし、「暑かったがいい風が吹いていて助かりました。江差では夕日がきれいでした」と話した。
レースでは日中は強い日差しもあり、日傘を差して進む姿もあった。25人のスタッフが通過見込み時間帯に合わせてASを開設するなど、夜通しで支えた。「ジャーニー」が示す旅の要素もレースの魅力で、選手はコース途上の観光スポットを写真に収めたり、一部のASでは松前の漬けマグロ丼、江差のニシン丼といったご当地食も用意された。
弘前市で5月に初開催した6日間の総走破距離を競う大会で女子優勝を果たした東京都の主婦、鍋島由香里さん(52)は「地元の人たちの応援が優しく、海にも癒やされる。(長距離レースは)仲間意識が生まれ、達成感がある」と話していた。熊本市の薬剤師、小場佐雅浩さん(63)は「独特の海の感じや九州の険しい海岸線と違う雰囲気の中を走ることができてうれしい」と話した。盛岡市から参加した朝日新聞社の「ランナー記者」、小幡淳一さん(54)は「景色も良く道南の良さを感じた。スタッフの準備は大変だったと思うが楽しめるいい大会」と話していた。
主催者は来年以降もレースの継続を予定している。(今井正一)