函館市は31日、函館繁栄の基礎を築いた江戸後期の豪商、高田屋嘉兵衛生誕の地・兵庫県洲本市と相互交流に関する協定を締結した。「高田屋嘉兵衛翁ゆかりの地」として交流を続け、両市の発展につなげることを確認した。また、嘉兵衛の顕彰・追悼式も同日執り行われ、関係者が功績をしのんだ。
函館ではこれまで嘉兵衛の顕彰と北方領土の早期返還実現を祈念しようと、1976年から2010年まで「高田屋嘉兵衛まつり」(実行委主催)を毎年開催。一時中断を経て16年からは箱館高田屋嘉兵衛顕彰会(村上玉樹会長)が顕彰・追悼式を実施。両市間では相互訪問を通じ交流を深めてきた。
協定は今年3月に洲本市であった「高田屋嘉兵衛まつり」に大泉潤市長が足を運んだのをきっかけに、さらに関係を深めようと函館側から声を掛け締結に至った。式では大泉市長と洲本市の上崎勝規市長が協定書に署名。協定には嘉兵衛のゆかりを基にした行事での相互交流や協力のほか、観光交流や地域振興の推進などが盛り込まれた。
大泉市長は「協定締結で絆がより確かなものになり、喜びに堪えない。函館の礎を築いた歴史をこれからも継承していく」、上崎市長は「嘉兵衛を通じてつないでいくことが今に生きる私たちの役割。歴史を振り返り、両市の発展につなげたい」と述べた。
同日、宝来町の嘉兵衛銅像前で開かれた顕彰・追悼式(同顕彰会主催)では称名寺の僧侶が読経する中、関係者が献花。日本舞踊の花泉舞徳社中の踊り手10人が「北前船」「高田屋嘉兵衛音頭」の2曲を奉納し、式に花を添えた。(飯尾遼太)